日本の風俗といえば、昔は遊郭や湯屋などがありましたが、現在ではソープランドを始めとした様々な風俗へと変化していきました。今でこそその雰囲気やサービスなどは大きく変化しているものの、随所にかつての名残が見受けられます。
一番よく聞くのが、用語についてです。例えば、お客がついていない手空きの状態を「お茶を挽く」と言いますが、これはかつて遊郭で出されていたお茶を細かく挽くのが手空きの遊女だったことから来ている言葉ですし、一度遊んだ女性を後日指名することを「裏を返す」と言いますが、遊郭時代の用語の一つです。コンパニオン女性がお店で使う「源氏名」というのもそうで、平安時代を代表する名作である源氏物語に由来すると言われ、遊女達はその登場人物である女性達が名字で呼ばれていたことを受け、平安貴族のような雅な名字を名乗ることが流行っていたのです。ソープランドでも、高級店などの一部ではこのような流れで名字を名乗っている店があるのです。
それと同様に、役職も現在のソープランドと昔の遊郭では名称こそ違うものの、ほぼ仕事の割り振りは同じになっています。ソープランドで働くのは女性だけではなく男性もいるのですが、現在の男性スタッフは若衆と呼ばれ現在と同じように様々な役職についていました。その種類はかなり多く、ランク付けこそあれども男性の相手をするだけの女性とは違って、仕事内容でしっかりと細分化されていました。
まず、現在の「オーナー」の位置に居たのが「楼主」、「店長」の位置に「番頭」、お店の入り口に立って客を呼ぶ「客引き」は「妓夫(ぎゆう)」とか「牛太郎」、「スカウト」は「女衒(ぜげん)」、現在では役職というものではありませんが、消耗品の補充などの雑事を行う男性スタッフは「見世番」、客とのトラブルに対応する「警備員」とか「ボディーガード」といった役は「不寝番」などと呼ばれていました。現在のソープランドでは無くなった役職などもありますから、昔は現在以上に男性の仕事がたくさんあったということです。
現在のソープランドというのは、遊郭の流れに現代的な西洋の流れが合わさってできたいわば和洋折衷の風俗とも言うべきものです。遊郭はほぼ完全に消失したと言われていても、それらの名残は様々な形で残っています。そして、意外と働いている女性でも知らないことも多いので、こういった方面で知識を広げてみれば女性との会話のネタとして役立つかもしれません。