こけるまで、止まれない。 もっと早く休めばよかった。 そう思う頃には、たいていもう遅い。 思えば、あの時もそうだった。 虫歯菌が歯の奥深くまで入り込み、神経に届くまで休まなかった。 同じ足を何度も痛めて、それでも走り続けて、疲労骨折になるまで止まらなかった。 微熱だから大丈夫だと動き続けて、血液検査の場で倒れて、ようやく身体に止められた。 私はいつも限界を少し越えてからしか気づけない。 今休んだら、昨日の自分を超えられないかもしれない。 どうせいつか休める。 ここで止まったら、全部が崩れてしまう気がする。 そんな気持ちがずっと身体の内側に残っている。 昔ほどストイックに生きているつもりはない。 でも奥のほうにはまだ、べっとりとした何かがこびりついている。 まだいける、これくらい大丈夫、あと少しだけ そうやって自分を押し出してきた時間が、身体のどこかに積もっていたのかもしれない。 そして今、身体は静かに反乱を起こしている。 言葉にならない疲れが、皮膚の下から浮かび上がるように広がっていく。 見えないところで我慢していたものが、もう隠せないところまで来てしまったみたいに。 これは痛みというより、拒絶に近い。 私の身体が、私自身に向かって言っている。 身体は壊れる前にちゃんと声を出していたのかもしれない。 でも私はその声を努力不足だと思ってしまった 止まることを、負けることみたいに扱ってしまった。 本当は身体はずっと味方だったのに。 限界まで頑張ることが強さだと思っていた。 昨日の自分を超えることが、生きている証明だと思っていた。 でも、昨日の自分を超えるために、今日の自分を壊していたら、私はどこへ向かっているのだろう。 休むことは逃げることではないのかもしれない。これ以上、私を私から奪わせないための、いちばん静かな抵抗なのかもしれない。 今、身体に起きていることを、私はまだうまく説明できない。 怖いし、不安だし、恥ずかしさもある。 でも少なくとも、これはただの不調ではなくて、私の身体が最後に引いた境界線のように感じている。 ずっと私が止まれなかったから、身体が代わりに止まってくれた。 だから今度こそ聞かなきゃいけない。 丸々一週間、本当にご迷惑をおかけしてすいません。 散歩なんかせず、食って寝ろ とナース様にもドクター様にも背中を押されました。 頑張りますと言いたいところですが、頑張りません。 鳳条 暦
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