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04/18 17:57
春すぎて風あざみ
半袖のセーラー服に、まだ少し大きめの上着。
どこかから「もう夏だね」と囁く声が聞こえた気がした。
不思議な感覚だった。
肌をわずかに露出するその制服姿には、若さと、守られているような幼さが同時に宿っている。
私の住んでいた地域では、セーラー服は頭の良い学校の象徴だった。
だからだろうか、あの制服にはほんの少しの憧れがあった。
「着てみたかった」と言えば、それは嘘ではない。
けれど目の前の現実は、少し違う。
かわいらしい制服に対して、背中には不釣り合いなほど大きなリュック。
中身はきっと教科書や課題でいっぱいで、軽やかさとは程遠い重みを背負っている。
そのアンバランスさが、妙にリアルだった。
かわいいだけでは済まない日常。
それでも彼女たちは、それを当然のように背負って歩いていく。
その姿を見て、ふと胸の奥が揺れた。
戻りたい、という感情が、思いがけず顔を出したのだ。
きっとそれは、あの頃そのものではなく、
何かに守られながら、不完全でも許されていた時間への郷愁。
季節はただ巡る。
同じ夏は、もう二度と同じ形では訪れない。
鳳条 暦
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