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08/04 09:30
傷を愛す
あわいとは、どちらか一方ではない場所のこと。
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海と川が混ざり合う汽水域のように、夜が朝へ溶けていく明け方のように、「これが答えです」と言い切れない境界には、いつも少しの不安と、少しの美しさが共存しています。
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私たちは曖昧さに落ち着かなさを覚えます。
好きか嫌いか。正しいか間違っているか。
続いているのか終わったのか。
白黒つけたくなるのは、答えがあれば安心できるからです。
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けれど人生を振り返ると、本当に大きな出来事は、いつも あわい の中で起きています。
子どもから大人になる時間。誰かを好きになり始める瞬間。別れを受け入れていく日々。新しい土地で生き始める心細さ。
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どれも「もうこちら側ではない。でも、まだあちら側でもない」という宙ぶらりんな時間です。
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あわいにあるものを傷 と重ねます。
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傷とは、血が流れている状態だけではありません。
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時間が経ってから突然痛み出す記憶も、もう忘れたはずなのに胸が締めつけられる感情も、人には説明できない寂しさも、傷が癒えていく途中のかすかな違和感も、すべて傷と傷ではないものの あわい にあります。
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だから傷は、ある・ないでは語れません。
悲しみの隣には希望があり、後悔の隣には優しさがあり、孤独の隣には誰かを求める気持ちがあります。
人の心は、一つの言葉では決して括れないほど複雑なのです。
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傷だけを見れば、人は弱く見えるかもしれない。
けれど、その傷を抱えながら今日も誰かを愛し、笑い、迷い、前へ進もうとする姿を見れば、それは弱さではなく、生きる力そのものになります。
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あわい は完成していない場所です。
だから不安で、居心地が悪い。
けれど同時に、人はその場所でしか変われません。
蝶はさなぎのあわい を通り、朝は夜のあわい から生まれます。
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人生もまた、何者でもない時間を経ることで、新しい自分へと姿を変えていきます。
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だから今もし、自分がどこにも属していないような感覚や、答えの出ない迷いの中にいるなら、それは立ち止まっているのではなく、変化の途中なのかもしれません。
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あわい とは、終わりでも始まりでもない場所。
けれど、人が最も深く生き、人間らしくなれる場所でもあるのでしょう。
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傷を愛せるか
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人は「はっきりしないもの」に耐えられない生き物だけれど、本当に大切なものほど、その曖昧な場所に宿っている
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鳳条 暦

































